ポーランド、ランジェリーブランド探訪の旅 Sawren

Voyage for Discovery

special vol.04

Polish Lingerie

ポーランドから徹底取材!

special vol.04

ポーランド、ランジェリーブランド探訪の旅

Polish Lingerie

第二部・サブレンの秘密を徹底レポート!

レンガ造りの歴史のある建物がオフィスとなっている

困難を乗り越えて、成長したブランド

ポーランド北東部の都市ビャウィストクの中心街から車を10分ほど走らせると、大きな正教会の十字架が見えてきます。サブレンアトリエは、この正教会の一角にあるレトロなレンガ造りの建物の中にありました。ポーランドで唯一無二の存在感を放つサブレンの秘密を探るため、私たちはオーナーのレナタさんに創業当時のお話を伺いました。

サブレンが創業したのは1996年。オーナーのレナタ・サヴィツカは、エコノミストとしてマーケティングの仕事に携わった後、法律に関わる仕事をしていた夫カジュミシュとともにサブレンを創業しました。サブレンは、経済と法律の専門家夫婦がたった2人立ち上げた異色のブランドなのです。エコノミストとして働きながらランジェリー事業に大きな可能性を感じていた彼女は、自分がランジェリー好きだったこともあり、ランジェリーブランドの創業を決意。経験も知識もない状態でのスタートに乗り越えるべき困難も多かったそうですが、今ではフランスやロシアなど世界で愛されるブランドへと成長させました。「不可能と思えることも情熱があれば可能にできる。これからも困難に立ち向かいながらブランドを成長させたい。」 レナタは力強くそう語ってくれました。

1台のミシンから始まる物語 ~ブランド誕生ストーリー~

サブレンのオフィスで大切に保管されている一台の古いミシン。重厚感のあるそのミシンは、レナタが幼ない頃に父が母へプレゼントしたものでした。当時は手に入れることが難しかったドイツ製の高級ミシン。ミシンの使い方さえ知らなかった母は、ミシンの使い方を勉強して幼いレナタのために洋服を作ってくれました。決して裕福ではなかった共産主義時代。母が作ってくれた洋服は、レナタにとって最高の宝物でした。そして、レナタ自身も12歳になる頃には自然とミシンを操るようになっていました。そして、いつか服飾にかかわる仕事がしたいと夢見るようになりました。それから数十年余り―。大人の女性へと成長したレナタは、最愛の夫カジュミシュと出会い、エコノミストからランジェリーブランドのオーナーへと華麗なる転身を遂げました。このミシンとの出会いがなければ、サブレンが創業することはなかったかもしれない、とレナタは言います。一台のミシンが生み出した、心温まるブランドストーリー。歴史と思い出が詰まったレナタのミシンは、今日も彼女の活躍をそっと見守っています。

今も大切に保管されている当時のミシンとオーナーのレナタさん
サブレンのアトリエの様子

丹精を込めて紡ぐ、ハンドメイド

ブランドの価値を高めるために注がれるもの。それは、ひとつひとつの手仕事に注がれる職人魂。サブレンのブランド理念は、「少量でも良いものを作り続ける」ということ。このブランドの理念は、創業当時から全く変わっていないと、レナタは言います。

ブランド理念に基づき、サブレンでは今日に至るまで、全ての工程がハンドメイドで行われています。型入れから裁断に至るまで、手間のかかる工程も全て手作業。しかも、在庫を持たずに注文を受けてから製造する受注生産を行っているため、裁断から縫製までの作業は注文のたびに行われます。サブレンのランジェリーに使用される素材は、どれもデリケートな高級レースばかり。その繊細なエンブロイダリーレースを、習熟度の高いワーカーたちが、ひとつひとつ丁寧に紡いでいきます。30種類以上もの小さなパーツをスピーディーに縫い上げる作業は、まさに職人技と言えます。

ブランドの誇りをかけて、丹精に紡がれるサブレンのランジェリーには、ひとつひとつにハンドメイドならではの温もりが込められています。

時代が求める、独創的なデザイン

サブレンの代名詞ともいえるのが、個性的でありながら洗練さを極めた独創的なデザイン。そのデザインのすべてを手掛けるのが、サブレン専属デザイナーのウシュラ。素材の調達を担うレナタの傍らでデザインと設計を担当し、長年にわたりレナタを支え続けてきました。そして現在は、全てにおける管理責任者であるレナタと、レナタに代わって素材の調達を担当するエヴァ、デザイナーのウシュラの3人で、サブレンの商品企画が行われています。サブレンの独創的なデザインが、わずか3人の女性たちによって生み出されていることに、私たちはともて驚きました。素材の調達を担当するエヴァは、レナタの息子嫁。学生時代に外交官を目指して勉強していたエヴァは、営業担当としてサブレンで働き始めるも、その類稀なる美的センスで素材の調達業務において能力を発揮。サブレンのデザインに新風を吹き込み、次々とヒット商品を生み出しました。ランジェリーのデザインに決まったルールはありません。常識にとらわれず、女性の美しさと可能性を最大限に引き出したい―。そんな3人の女性たちによる自由な発想によって、サブレンの独創的なデザインは生み出されているのです。

専属デザイナーのウシュラさんの作業風景
オーナーレナタとセールスマネージャーのエヴァ

厳選された、珠玉のヨーロッパ刺繍

愛おしいほど華やかな花々、凛とした気品に満ちた樹木、あるいは近代的なジオメトリック模様など、サブレンのランジェリーには個性豊かなエンブロイダリーレースが贅沢に使用されています。それらは全て、フランスやスイス、オーストリアなどヨーロッパ各地にある一流メーカーから調達されており、時にはファブリックの調達権を巡ってフランスやイタリアの有名ブランドと競り合うこともあるそうです。

レナタとエヴァの鋭い選別眼によって選り抜かれたファブリックは、気鋭デザイナーウシュラによってデザイン設計された後、何度も試作が繰り返されます。刺繍の美しさを最大限に引き出しているか、着用した時に問題はないか、全体デザインのバランスは良いか、など様々な観点から厳しいチェックが行われ、最終的には全てのファブリックが職人たちの手によってランジェリーに紡がれていきます。

細部までブランドの誇りとこだわりが詰まったサブレンのランジェリー。そんなこだわりが、ブランドをさらなる高みへと導いているのだとわかりました。

創始者レナタさんと夫のカズミシュをはじめサブレンファミリー

ブランドとして、愛され続けるために

最後に、レナタさんに今後のブランド展望についてお伺いしました。

Q.今後の成長戦略は?
A.まずは、これまでと変わらず地道に良いものを作リ続けること。次に、各国の取引先と戦略的なパートナーシップを築き、各国でのブランド価値を高めることです。パートナーシップは一国につき一企業で十分だと考えています。ビジネスには信頼関係が重要ですから。

Q.それは一企業に独占販売権を与えるということですか?
A.そうです。最近はインターネットを見たという企業からの問合せが急増していますが、日本のアヴァンサを含め、取引契約まで至った企業はほんの数社です。信頼できる取引先とパートナーシップを築いておけば、その国における販売を安心して任せることができます。

ブランドを守り大切に育ててながら、次世代に繋ごうとするレナタさんの姿勢に、賛同するかのように隣で頷くエヴァさん。世代を超えて注がれるブランドへの情熱が、サブレンの新しい時代を切り開いてくれることでしょう。