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クワイエットラグジュアリー
時代に左右されない、静かな贅沢

2023年の秋冬からファッションの舞台裏で息づき始めた新たな潮流「クワイエットラグジュアリー」は、2024年のファッションシーンでも引き続きトレンドとなっています。持続可能性とエレガンスの調和を謳い、新時代のファッションを牽引するクワイエットラグジュアリー。 今回は、そんなクワイエットラグジュアリーの魅力と、ランジェリーファッションにおけるクワイエットラグジュアリーの潮流について考察してみたいと思います。

目次 -Contents

クワイエットラグジュアリーが提唱する、贅沢の美学

簡素なデザイン、シンプルなライン、中立的な色調とブランドロゴの抑制
簡素なデザイン、シンプルなライン、中立的な色調とブランドロゴの抑制

クワイエットラグジュアリーとは、その名のとおり「静かな贅沢」という意味です。その特徴をシンプルに説明するとしたら、デザインの簡潔さ、シンプルなライン、中立的な色調、ロゴの抑制、などでしょうか。

クワイエットラグジュアリーの価値として重要視されるのは、知名度やブランドではなく、本物のクオリティと持続可能性。誰かに見せつけるためのブランドロゴや過剰なデザインを排除した、普遍的で本質的な美の追求。一過性のトレンドではなく、永遠のエレガンス。多くのファッションブランドがこのクワイエットラグジュアリーの美学をコレクションに取り込み、海外セレブなどの富裕層がファッションに取り入れるようになったことがきっかけで、クワイエットラグジュアリーはファッション業界の一大ブームとなりました。

クワイエットラグジュアリー vs ファストファッション

クワイエットラグジュアリーは、ファストファッションによる大量のファッションロスに対抗するものであるとも言われています。サスティナブルな持続可能性に焦点を当ててたクワイエットラグジュアリーは、ファストファッションによる過剰消費に疲れた消費者の心理やとマッチし、さらには国内外のSNSでもトレンドキーワードとなったことから、その存在が一気に注目を集めるようになりました。クワイエットラグジュアリーの台頭は、単なる一過性のトレンドではなく、ファストファッションからの解放を示唆するものなのです。

控え目で上質なデザイン、長く使える品質が国内外で流行している
控え目で上質なデザイン、長く使える品質が国内外で流行している

2023年12月にはEUがファストファッションによる大量廃棄に歯止めをかける法案を採択しました。持続可能性へのシフトが世界的に進む中、衣類の価値を長期的な投資として再定義するクワイエットラグジュアリーのトレンドは、もはやトレンドの枠を越えて、ファッション業界の未来をリードするムーブメントとなりつつあります。そして、そのムーブメントはランジェリーのトレンドにも反映されています。

短い流行の中で大量生産、大量消費、大量廃棄をくり返すファストファッション
短い流行の中で大量生産、大量消費、大量廃棄をくり返すファストファッション

2024年のトレンド「モノクローム」とクワイエットラグジュアリー

ファッションもランジェリーも、2024年はシンプルでありながらも洗練されたモノクロームのアイテムがキープレイヤー。パリ、ロンドン、ニューヨーク、ミラノ、4大ファッション都市における2024年春夏コレクションのキャットウォークでは、多くのブランドが黒と白のモノクローム・ルックを提案しました。

それと足並みを揃えるかのように、ランジェリーの都パリにおけるランジェリー国際見本市Salon International de la Lingerie 2024にも、モノクロームのランジェリーが溢れかえっていました。近年のランジェリーは、装飾性よりも快適性が重要視され、遠隔ワークの普及に伴いリラックスしたライフスタイルにマッチしたものが人気を集めています。

ステータスを誇張するような過度な装飾は控え、ブラックとホワイトを基調にシンプルながらも個性のあるランジェリー。これまで以上に、クワイエットラグジュアリーの要素がランジェリーにも求められるようになりました。

ランジェリーにもクワイエットラグジュアリーの流行が到来
ランジェリーにもクワイエットラグジュアリーの流行が到来

これらのトレンドの背景には、クワイエットラグジュアリーの潮流があると考えられます。モノクローム・ファッションの最大の特徴は、一過性のトレンドに左右されない、永遠のトレンドであるということです。

黒と白の色合いは常に何らかの形で存在し、一過性のトレンドに織り込まれながら、常にトレンドの中心に据えられてきました。目まぐるしく移り変わるトレンドに追随するカラフルなファストファッションとは正反対に、トレンドに左右されることなく静かに佇むモノクロームのモダニティは、クワイエットラグジュアリーの美学ともシンクロするものがあります。

モノクロームで楽しむ、2024年春夏ファッションのトレンド

2024年春夏コレクションで多くのデザイナーたちが提案したのは、トレンチコートやジーンズ、ペンシルスカートなど、ベーシックで日常使いしやすいおしゃれなアイテムたち。派手なステートメントガウンよりも、トレンチコート、ペンシルスカート、トラウザースーツ、ジーンズなどの、時代に左右されずに長く愛用できるベーシックなアイテムが脚光を浴びています。まさにクワイエットラグジュアリーの要素を持ち合わせたアイテムばかりだと言えます。

それらのベーシックアイテムをトレンドへ昇華させるために欠かせないのが、シンプルながらも魅力的なランジェリーの存在です。それらはベーシックなアイテムと相性が良く、トレンド感のあるファッションを作り上げるために欠かせない存在となっています。

黒と白のモノクロームはクワイエットラグジュアリーのスタイルに合いやすい
黒と白のモノクロームはクワイエットラグジュアリーのスタイルに合いやすい

例えば、透け感のある黒のランジェリーにオーバーサイズのブレザーやパーカーを合わせたり、黒のレギンスにタンクトップを合わせたり、白のシアースリップドレスに黒のタイツを合わせたり、白と黒を組み合わせることでモノクロームのメリハリを活かした奥行きのあるファッションを楽しめます。

オールブラックやオールホワイトなど同色系コーディネートの場合は、ランジェリーならではの透け感を利用したり、異なるテクスチャーの素材を組み合わせたりすることでコーディネートに奥行きが生まれます。シンプルながらも洗練されたエレガンスが求められるモノクロエレガンスは、カジュアルな中にもおしゃれな要素を取り入れるのがポイントです。

ここで伝えたいのは、コーディネートのノウハウではありません。大切なのは、季節に関係なく今持っているワードローブとミックスできるような、汎用性が高くてタイムレスなシルエットやスタイルを選ぶこと。過剰な消費で流行を追い求めなくても、トレンドは生み出せるのです。

身近なアイテムでモノクロームのコーディネイトは完成する
身近なアイテムでモノクロームのコーディネイトは完成する

クワイエットラグジュアリーが描くランジェリーの未来

クワイエットラグジュアリーという言葉が広く普及した今、私たちのライフスタイルやファッションも変わりつつあります。クワイエットラグジュアリーとランジェリーというトレンドに共鳴するかのように、消費者は美しさと快適さを求めるだけでなく、サスティナビリティやトレーサビリティなどに配慮したエシカルな製品を選ぶようになってきました。

ファッションを通じて自分らしさを表現し、同時に地球に優しい方法を選ぶことで、自分のスタイルと環境への思いやりを調和させる時代が来たのです。

静かなるクワイエットラグジュアリーの世界
静かなるクワイエットラグジュアリーの世界

1月にフランスのパリで開催された世界最大のランジェリー国際見本市「Salon International de la Lingerie 2024」では、サスティナブルな持続可能性が一段と注目されました。多くのランジェリーブランドが、素材の選択から製造プロセスまでにおいてエシカルなアプローチを取り入れ、一過性のトレンドに頼らない持続可能なアイテムを提案しました。

過度なファッション性を排除しつつも、独自性と個性を大切にするクワイエットラグジュアリーの美学は、2024年のランジェリートレンドにも反映されています。クワイエットラグジュアリーが提案する環境への配慮と品質へのこだわりが、持続可能なランジェリーの進化と見事に調和し、新しいランジェリートレンドの可能性を示したと言えるでしょう。

クワイエットラグジュアリーの思想が未来を築く
クワイエットラグジュアリーの思想が未来を築く

これからのファッションは未来を築いていくための一環であるという価値観が多くの消費者に広まれば、未来のファッションはより賢明で持続可能なものになっていくでしょう。クワイエットラグジュアリーの価値観を大切に、持続可能な未来を見据えつつ、美しさと賢明な選択を重ねて、新しいファッションの時代を楽しんでいきたいですね。

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