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ランジェリーをあなたの日常スタイルに
その道のプロから学ぶスタイルコラム

Lingerie Photo

彼女たちがカメラの前で「脱ぐ」理由

西川らむ

コンプレックスはその人をあらわす「柄」隠すよりありのままを残す

あなたにとって、コンプレックスとはどんな意味を持っていますか?惨めな気持ちになるものですか?見たくないものですか?他人と比較して、わざわざ自分を傷つけるものですか?

どんなに輝いて見える人でも、完璧に見える憧れの人でも、自信を持てずに人知れず悩んでいる部分は誰もが持っているものです。私は撮影に来る女性たちの変化を見るたびにコンプレックスとはいかに曖昧なもので、実態のない幻想なのだろうと感じています。写真の切り取り方や魅せ方、捉え方次第で、拍子抜けするくらいあっさりと短所が長所に180度変わってしまう瞬間を、幾度となく目の当たりにしてきたからです。

今回撮影の依頼をいただいたのは「昨年から湿疹ができて消えないままの、今の身体を残しておきたい」という女性。普通なら隠しておきたい知られたくない身体のパーツですが、「love &sex」をテーマとするカウンセラーでもある彼女は、体調不良による疾患や自らの経験を写真という形で記録しておきたいと話してくれました。

西川らむ コンプレックスはその人をあらわす「柄」隠すよりありのままを残す

「これは人体実験でもあるんです。私の経験の過程が誰かの光になるかもしれないから。」 そう力強く放った彼女の言葉は、いまでも非常に印象深く残っています。

私はそれを聞いたとき、自信の持てない部分とはその人自身を表す「柄」や「カラー」でしかないのだな、と感じました。そこに「良い」「悪い」などの意味を後付けしたがる私たち。コンプレックスと言っておけば、程の良い言い訳にもなりますし、逃げ道にもなります。時にそれは人を救う場合もあるけれど、せっかくならばコンプレックスに思うことさえも誰かの役に立てたい。そんな風に、いまの私は思います。

湿疹が身体中にできて「鏡を見るのも辛かった」という時期を経て、ランジェリーを纏い撮影する気持ちへと変化していった彼女は、とても美しい優しい目を持っていました。どんなに望まない見た目になったとしても、【女であることをそのまま受け入れる】ことができるのは、ランジェリーが持つ強力なちからの後押しがあったからだと思います。

人それぞれ、撮影の裏側には揺れ動く想いとストーリーがあります。女性たちのストーリー触れることによって、皆さまの価値観や世界観も広がってゆきますように―。

次回もお楽しみに・・・!

各分野で活躍する方々に登場していたたきランジェリーや女性の美、最新の ファッションやコーディネイトに関する情報を発信していただく最新コラムです。

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