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Gothic Lingerie

ゴシック×ランジェリー

「ゴシックって…?」そんな声を吹き飛ばすほど、今シーズンは黒のワクワクが止まりません。きっかけはNetflixの大ヒットシリーズ『Wednesday(ウェンズデー)』。ジェナ・オルテガ演じる黒×白コーデがTikTokの検索を50倍に押し上げ、ハッシュタグ〈#WednesdayOutfit〉は1,000万ビューを突破!この盛り上がりに呼応するように、欧米のハリウッドセレブも、今年のゴシックブームをロマンティックに牽引しています。ティーンから大人まで巻き込んだ、いま流行中の“ゴシック×ランジェリー”の世界をご紹介します。

目次 -Contents

Netflix旋風で “闇かわ” 到来!

「ゴシック」と聞くと黒ずくめの服や古い城を思い浮かべる人が多いでしょう。本来は、中世ヨーロッパの尖塔(とがった屋根)を特徴とする教会建築に端を発した建築様式です。19世紀に入ると、廃墟や幽霊をモチーフにした小説や絵画へ広がり、“少し怖くて、どこか優雅な美意識”として受け止められるようになりました。現代では、暗闇に潜む神秘、もの悲しいロマン、自分を物語の主人公にする高揚感――そうした感情をまとうスタイルの総称として語られています。

avancaスタッフ記載
アダムス・ファミリーやハロウィンの世界観と言えば分かりやすいイメージのゴッシクの世界。元々は中世の建築様式を指す。

最初に「ゴシック服」が流行したのは、19世紀ヨーロッパのロマン派ブーム。電灯もない時代、人びとは薄暗い古城や夕暮れの森に“美しさと少しの怖さ”を見いだしました。女性たちはコルセットでウエストを絞り、袖にたっぷりと布を入れて波のようにふくらませます。色は真っ黒一辺倒ではなく、深いアースカラーが多く、「影」と「自然」をまとって“もの悲しいロマン”を醸し出していました。

Savancaスタッフ記載
いつの時代も音楽とファッションは密接な関係。ゴシックに影響を受けたロックバンドは数えきれないほどあり、ザ・キュアー、ブラックサバス、アリス・クーパーやマリリン・マンソンが代表的なバンド。

一方、20世紀末に音楽とサブカルが交錯すると、ロンドンのストリートでゴシックは再解釈されます。1977年、ポストパンク・バンド「Siouxsie and the Banshees」のスージー・スー(Siouxsie Sioux)が幾何学的なアイメイクと黒×白のパンクファッションを披露し、「ゴスのゴッドマザー」と呼ばれるように。彼女が足しげく通ったのが、1982年にオープンした地下クラブ、バットケイブ(Batcave)。ロバート・スミスやニック・ケイヴらが集い、ライブはもちろんホラー映画の上映やカスタム衣装も楽しめる、ゴシック・ムーブメントの“可視化”の場でした。

どの時代でも、ゴシックは不安の時代を象徴するファッションスタイルなのかもしれません。19世紀ロマン派が残した“憂いを帯びた優雅さ”と、80年代Batcaveが生んだ“ロックとファッション”。この二つが20世紀の「ゴシック」に引き継がれ、“ロマンとロック”をまとった新しいゴシックが現れました。21世紀に入ると、ハイブランドもその精神を積極的にモードへ取り入れていきます。

Savancaスタッフ記載
モードやファッションの世界でゴシックは当たり前であり当然のファッション要素。世界中のデザイナーたちがゴシックの要素を詰め込んでいる。

ゴシックをモードに引き上げた例として、ティエリー・ミュグレーやジャン=ポール・ゴルチエが挙げられます。1980年代、ゴシックやパンク、SF的要素を組み込んだコレクションは近未来的でありながら退廃的な美学を湛え、その影響は日本にも届き、独自のゴシック様式の源流となりました。90年代に入ると、アレキサンダー・マックイーンの卒業コレクション〈Jack the Ripper Stalks His Victims〉(1992年)や〈Highland Rape〉(1995年)が鮮烈な物語性とゴシック要素を持ち込み、以後のモード界に“ゴシック・ロマン”が定着。現在も脈々と続いています。

モードからNetflixのヒロインへ

2025年3月、パリで幕を開けたDior(ディオール)のコレクションでは、マリア・グラツィア・キウリが黒とアイボリーを重ね、胸元に透けるコルセットを忍ばせたドレスで「バロック・ゴス」を表現しました。ゲストのナタリー・ポートマンはベルベットのミニドレスとレース袖で、“黒いチュールが舞う”舞台を完成させ、ゴシック・ロマンティシズムを体現。

avancaスタッフ記載
クラシカルでありバロック調のコートやジャケットとゴシックのデザインを見事に組み合わせたDior(ディオール)のコレクション。

続くBalenciaga(バレンシアガ)は「不穏な静けさ」を掲げ、首元まで覆う黒ローブのモデルを送り出しました。ショウを最前列で見たイザベル・ユペールはハイネックドレスとロングブレザーで、大人のゴシックスタイルを完成させます。

レッドカーペットもゴシックに染まりました。ニューヨークではレディー・ガガがWilly Chavarria(ウィリー・チャバリア)の漆黒オーバーコートと漂白眉で“エレガント・ゴス”を更新。イタリア・シチリアのタオルミーナ映画祭では、モニカ・ベルッチがハイネックの黒レースドレスで“ゴスと官能”を共存させ、大人のゴシックを披露。カンヌ映画祭ではIt girlのカーラ・デルヴィーニュがチュール・グローブ越しにタトゥーを透かせ、黄金期ハリウッドのグラマーにゴシック風スパイスを添えました。

avancaスタッフ記載
ゴシックの要素を自身のファッションに取り入れるアーティストの代表と言えばレディー・ガガ。彼女もマドンナやデヴィッド・ボウイから影響を受けたと答えています。

ディオールの優雅、バレンシアガの静謐、ウエストウッドの劇場性、ガガが魅せるアーバン・ダーク。そのすべてが「ゴシック」という黒いリボンで結ばれます。

そして流れを決定づけたのが、Netflix『Wednesday(ウェンズデー)』のヒロイン=ジェナ・オルテガ。シリーズの爆発的人気が〈#WednesdayOutfit〉をバイラルに押し上げ、今季のムードボードを真っ黒に染めました。実際に、同作の黒×白ゴシックコーデはTikTokの検索を50倍に押し上げ、〈#WednesdayOutfit〉は1,000万ビューを突破。

avancaスタッフ記載
『アダムス・ファミリー』のキャラクター、ウェンズデー・アダムスを主役にしたコメディホラー。主演のジェナ・オルテガがゴシックブームに火をつけたと言われている。

ジェナ・オルテガは、Netflixシリーズ『Wednesday(ウェンズデー)』のプロモーション(ロンドンのフォトコール/取材〜パリのプレミアまで)の期間中に、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)のチョコレート色ガウンにシアーのコルセットを重ねたルックで登場しました。とりわけパリのプレミアで披露した装いは、ドラマの“闇”を引き寄せるようだと評判を呼び、SNSには「ハロウィンを待たずにゴシック!」という投稿が相次ぎ、同シリーズがムーブメントの先導役であることを強く印象づけゴシックのムーブメントをさらに押し上げています。

avancaスタッフ記載
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ゴシック×ランジェリーが主役になる

1章で触れた“ロマン”、2章で見た“モード”が今季ぴたりと重なり、ランジェリーとの相性が急上昇しています。理由はシンプル。ゴシックの核である黒(影)と尖ったシルエットは、もともとランジェリーの語彙(レース/チュール/サテン、そしてコルセットやビスチェ)と親和性が高いから。ランジェリーファッションの流行も追い風となり、ティーンから大人まで、年代に合わせた「ゴシック×ランジェリー」が多様に進化しています。

SNSでも「Goth Girl Summer」や〈#gothgirlie〉の投稿が増え、黒でも軽やかに見せる工夫が共有されています。ロサンゼルス拠点のモデル/ミュージシャン、Gabbriette(ガブリエット)は象徴的存在。黒のミニドレスにレースアップのコルセット風トップや厚底を合わせ、“ゴシック×セクシー”を今っぽく更新しています。海外ファッション誌でも「夏に黒を着る」実用スタイルとして、レースやチュールの“透け”にピンクやラベンダーなどの差し色を勧めるトーンが目立ちます。

avancaスタッフ記載
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ゴシック・ロマンティシズムを再現したいなら、素材の可憐さ(レース/チュール)×構造の強さ(コルセット)で完成。色は黒に限らず、深いブラウンやボルドーでも“ロマンティック”に仕上がります。まずは“見せるコルセット”をひとつ。それだけで、手持ちのワンピースや白シャツがロマンチックなゴシックスタイルに生まれ変わります。

avancaスタッフ記載
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Goth girlie(ゴス・ガーリー)が似合うZ世代から、ランジェリーが映える成熟した大人まで――この暗黒美学のゴシック・ロマンティシズムは、不安な時代を生きる感性を反映し、今後もしなやかに姿を変えながらファッションの重要な潮流として継続していくでしょう。 2025年、自分だけのゴシック感性でロマンチックなスタイルを探求してみてください。

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