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アメリカからお届けする北米ランジェリー事情

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

こんにちは。SPLASH特派員のカナです。アメリカ在住です。

自由にランジェリーを楽しむことをモットーにしており、北米のランジェリー業界の情報や意外と知らないブランドの歴史などをお届けしています。企業理念やランジェリーの素材についても深く掘り下げていく予定なので、お楽しみにしてください!

今回は前回のコラムに引き続き、「アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルな動き」について紹介します。この業界のSDGsについて語る上で非常に重要なポイントとなるのは、「繊維や染料、水資源に関する問題」や「ランジェリー業界が取り組んでいる改善策」です。

さらに、オーガニックコットンが気になる方や好きな方、お肌に優しい素材を探している方にも必見の内容となっています!

それでは、繊維、染料、水資源などがどのようにSDGsに関係してくるのかを見ていきましょう。ぜひお楽しみください♪

化学繊維が引き起こす問題と改善策

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

みなさんは今身に付けているランジェリーや服が、何の繊維から作られているのか、どんな染料が使用されているのか、考えたことはありますか?

ランジェリーや服に使われる繊維は大きく分けるとコットン、リネン、シルクなどの天然繊維とポリエステル、ナイロンなどの化学繊維に分けられます。

Textile Exchange Preferred Fiber Materials Report 2022によると、繊維業界全体の64%が化学繊維で、残りの36%が天然繊維です。ちなみに、これらの天然繊維や化学繊維はどちらも生産される過程で自然環境に負荷を与えています。

また、衣服に使われる染料も、環境や労働者の安全性を考慮せずに使用されている場合があります。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

まずは、化学繊維が地球に与えるネガティブなインパクトについて解説していきます。先述のように、繊維業界の64%は化学繊維で、その中でも約80%を占めるのがポリエステル製の繊維です。このポリエステル等の化学繊維の生産には大量のエネルギーを消費すると同時に、多量の温室効果ガスを排出します。

Textile ExchangeのPREFERRED FIBER & MATERIALS MARKET REPORT 2017によると、2015年に衣料用に生産されたポリエステルが排出したCO2は2,820万トンで、この数字は天然繊維の生産時にかかるCO2の約3倍です。

また、水質汚染という大きな問題も抱えています。例を挙げると、化学繊維の生産において廃水処理が十分に行われていない工場から有毒化学物質が流出し、周辺の水環境を汚染してしまっているのです。このような水質汚染は、河川の生態系や近隣住民への健康被害を引き起こす問題を併発しています。

さらに、ポリエステルの原料である石油は貴重な天然資源ですが、人類はその生産スピードを超える速度で石油を使ってしまっています。こういった石油の状況が把握されていながら、化学繊維の生産は減るどころか増加しているのが現状です。2020年の化学繊維の生産量は5,700万トンであり、2021年にはさらに増加して6,100万トンに達しました。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

このためアメリカでは改善策として、多くの企業がこのポリエステル繊維をリサイクルすることに目を向けました。

以前のコラムで紹介したNATORI、Savage X Fenty、Lunya、Eberjeyなど多くのブランドがリサイクル繊維で作られたランジェリーやナイトウェア製品を作っています。アメリカのランジェリーブランドのサイトを見ると「この製品はリサイクル化学繊維から作られました」といった表記があるため、消費者が気軽にサステイナブルな動きに参加できます!

ここまで、合成繊維生産が抱える問題についてお伝えしてきました。

天然繊維の隠れた問題と改善策

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

ここからは天然繊維について解説していきます。

天然繊維と聞くと、SDGsにかなり配慮した地球に優しいイメージがありますよね?

しかし、実際にはそのようなイメージが当てはまるのは、ごく限られた一部の天然繊維に過ぎません。ここではコットンを例に出して解説します。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

コットンの栽培には大量の水が必要であり、さらに多量の化学薬品も使用されることをご存知でしょうか?

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

コットン栽培に使われる水は、その地域に暮らす人々が必要としている水の何十倍も使用され、農薬の使用により水質汚染も発生しています。特に中国、パキスタン、インドなど、コットン生産の主要な国々で水質汚染が深刻な問題となっています。

そして、水質汚染や自然環境だけでなく、労働者の人権が無視されたままコットンが生産されることがあり、欧米ではそれを「汚れた作物」と呼ぶこともあります。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

このような背景から、近年注目されているのがオーガニックコットンです。

オーガニックコットンは、これらの問題を改善するように生産されています。農薬や化学薬品を使用しない方法で栽培されるため、通常のコットンよりも人と自然環境に配慮した作物と言えます。

また、コットン栽培時の水の節約を図るために、灌漑の仕組みを改善する取り組みも行われています。以前のコラムで紹介したPactはオーガニックコットンに特化しており、節水のための灌漑システムにも力を入れているブランドです。ただし、こうした取り組みは高度な技術とコストが必要であるため、コットン業界全体に広がっているわけではありません。

しかし、アメリカではSDGsを重視する消費者が増えたことで、企業側も透明性を高め、倫理的なブランドであることを証明することが重要となりました。そのため、多くのアメリカ企業は自社が提携している繊維農場や製造工場がFair Trade CertifiedやFairTrade Americaなどの第三者機関に認定されていることをホームページに記載し、地球と人権に配慮したブランドであることを消費者にアピールしています。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

さらに、アメリカ政府も人権問題を重要視し、新疆ウイグル自治区で生産されたコットンの輸入を2021年から禁止しています。

以上が天然繊維、特にコットンの抱える問題や改善策についての解説でした。

染料が引き起こす問題と改善策

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

最後に、染料について深堀りしていきます。

衣服のデザインや印象を左右する重要な染料は、ランジェリーにとってなくてはならないアイテムです。残念ながら、衣服に使用される染料が自然や水質を破壊し、そこに暮らす人々の生活を危険に脅かしている場合があります。この問題はSDGsの中でも大きな課題の一つです。実は、世界の工業用水汚染の1/5はファッション業界によるものと言われており、特に中国やインド、バングラディッシュなどではこの問題が深刻で、人々が飲む水や生態系にまで影響が出ています。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

また、一部の国では、先進国諸国が禁止している化学薬品を使用していることも問題視されています。(その一部の国では、規制されていないため合法的に使用されているのが現状です)

そして、このような危険な染料を使った工場では労働者の人権も無視されている場合が多いのが現状です。なぜなら、それら多くの工場は下請けであり、労働者の安全性や排水の処理、知識、最新の環境に配慮した技術などに投資する資金を持っていないからです。

しかし、近年バングラディッシュでは、このような問題を改善するべく「Partnership for Cleaner Textile」という機関を立ち上げ、水資源や化学物質、エネルギー問題に対する取り組みを始めました。

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

また、「Oeko-Tex」というスイスに本部を置く機関の認証マーク(下記画像参照)がある衣料製品は、最大350種類にのぼる有害化学物質リストに対する厳格な試験をパスしたものなので、消費者や生産者に配慮して作られた安全かつエシカルな製品を購入したい方にオススメです。

以上が染料についての深堀りでした。どの問題もまだまだ課題が多く、個人の力ではどうにもできない部分がほとんどですが、一人一人がこのような問題に興味を持つことで大きな変化を繋げることができるかもしれませんね。

まとめ

 かな・アメリカのランジェリー業界におけるサステイナブルの動向パート2

近年、アメリカのランジェリー業界は製造元の透明性をより重要視しており、労働者の人権や自然環境に配慮して作られた製品であることの説明を公式ホームページなどに明記しているブランドが増えてきています。

SPLASHのコラムでも紹介したLunya、Eberje、Pact、Brook thereなどのブランドは、各ブランドのホームページでSDGsの動きについて細かく紹介されており、とても倫理的なブランドです。

人や自然に配慮して作られたランジェリーをあなたのワードローブに加えてみませんか?

それでは、また次回のコラムでお会いしましょう!

参考
PREFERRED FIBER & MATERIALS MARKET REPORT 2017 | Textile Exchange
Preferred Fiber & Materials Market Report
Polyester | Materials Index | CFDA
Fair Trade Certified
FairTrade America
Cotton | Industries | WWF
CNN Style
Oeko-Tex

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