Voyage for Discovery

SPECIAL

vol.04

ポーランド、ランジェリーブランド探訪の旅 Gracya

Polish Lingerie

番外編
グラツィア・最高の美人に最高のドレスを

目次 -Contents

  • ポーランド、ランジェリーブランド探訪の旅
  • 徹底取材!知られざるブランドの魅力
  • トラベルメモ・ポーランド旅行の案内
  • 第1部・アクサミ、受け継がれた美のDNA
  • 第2部・サブレン、1台のミシンから始まる物語
  • 第3部・エヴァビアン、ゼロから始まる挑戦
  • 番外編・グラツィア、ドレスを纏うランジェリー

女性起業家の先駆け、テレサの活躍

チャーミングなテレサはポーランドを代表する女性企業家でもある
チャーミングなテレサはポーランドを代表する女性企業家

Gracya(グラツィア)は、ポーランドの老舗ウェディングドレスのメーカー。創業者Teresa Slonicz (テレサ・スウォニッツ)は、ポーランドがまだ共産主義国だった1979年に、女性起業家としてGracyaを創業しました。当時のポーランドは男性優位の社会で、創業当初は「女性ひとりで何ができるのか」と偏見の目で見られることも多かったと、テレサは当時を振り返りながら言いました。ウェディングドレスとは、女性が一生に一度だけ着る美しい衣装。ウェディングドレスを纏った瞬間に、女性は誰もが世界で一番美しい女性になる。女性が人生で最高に輝く瞬間。それを全力でサポートしたい。そして、ビジネスとして大きく成長させたい。それができるのは、女性である自分にしかいない。そんなテレサのウェディングドレスにかける情熱は、多くの人々の心を動かしました。

テレサの活躍はポーランド国内のメディアでも数多く報じられ、ポーランドでは女性初となる”マネージャー・オブ・ザ・イヤー”を受賞。1989年の共産主義崩壊を機に、女性たちの多くが新規ビジネスを起業する中、テレサは女性起業家のパイオニア的存在として、今日までアパレル市場を牽引し続けてきました。

ランジェリーに宿る、ウェディングドレスの輝き

ウェディングドレスの老舗メーカーであるグラツィアがランジェリー事業を始めたきっかけ。それは、ウェディングドレスとお揃いのランジェリーを着けたいという顧客の声から生まれたものでした。それまで、ポーランドではウェディングドレスの下に普通の下着を着けるのが一般的で、ブライダルインナーといったものは、まだあまり普及していませんでした。顧客のニーズを知ったテレサは、早速ウェディングドレスとお揃いのビスチェ制作をスタート。

ビャウィストク市内にあるグラツィアのショウルーム
ビャウィストク市内にあるグラツィアのショウルーム

ブライダルインナーとしてのボディシェイプ機能に加えて、胸元にはウェディングドレスとお揃いのゴージャスなビジューを施すなどデザインにも徹底的にこだわったビスチェは、まさに芸術作品。ウェディングドレスに合わせて作られた世界でたった一つのオーダーメイドのランジェリー。そんなプレミア品を求めて、多くの顧客から同じような依頼が舞い込むようになりました。ウェディングドレスとランジェリーのコラボレーション市場に大きな可能性を感じたテレサは、2007年から本格的にランジェリー事業をスタート。今のところオーダーメイドが中心ではありますが、これからどんな飛躍を見せるのか。グラツィアのランジェリーブランドとしての歴史は、まだ始まったばかりです。

ドレスを纏うように、ランジェリーを楽しむ

「ウェディングドレスとお揃いのランジェリーを製造する会社は世界でも珍しいと思います。少なくともポーランドでは当社だけです。」テレサはそう言って胸を張ります。

顧客のオーダーについて真剣に打ち合わせをするテレサとスタッフ
顧客のオーダーについて真剣に打ち合わせをするテレサ

ウェディングドレスのメーカーであると同時にランジェリーのメーカーでもあるグラツィアは、デザインから製造までを一切外注することなく全て自社で行っています。顧客にトータルコーディネートを提案できる強みがある一方で、ランジェリーもウェディングドレスもオーダーメイドには細かなフィッティングが必要なため、サービスの提供がポーランド国内に限られてしまうのが難点だとテレサは言います。そこでテレサは海外向けにオリジナルランジェリーの製造をスタートしました。白色を基調としたウェディングコレクションと、デイリーユースを意識したファッションコレクションをリリースしたところ、イギリスやフランスなどの西欧諸国からオファーが殺到。コレクションが限られているため、まだ生産量は多くないようですが、「いずれはオーダーメイドランジェリーと肩を並べる事業へと成長させたい。」とテレサは意気込みを語ってくれました。

最高に美しい女性たちへ、最高のドレスを

「最高に美しい女性に、最高に美しいドレスを―。」これは、グラツィアが創業して以来ずっと掲げてきたコンセプトです。ウェディングドレスを身に着けた瞬間に、全ての女性は世界で最も美しい女性になる。ウェディングドレスは、そんな女性たちに相応しいものでなければならない。そのコンセプトに相応しいとして、グラツィアでは1995年から約10年間にわたり、ポーランド国内のミスコンテスト「ミス・ポロニア」のファイナリストたちに、ウェディングドレスやドレス衣装を提供し続けてきました。その功績が評価され、「ミス・インターナショナル」「ミス・ワールド」「ミス・ユニバース」などの世界的なミスコンテストでも、ポーランド代表が着用するドレス衣装をグラツィアが手掛けることもありました。さらに、舞台女優や歌手の衣装デザインも手掛けるなど、これまでにグラツィアは様々な場面で女性たちを美しく輝かせるためのサポートをしてきました。ミス・ポロニアのスポンサー企業を降りた現在でも、ポーランドの老舗ウェディングドレスメーカーとして市場の活性化に貢献し続けています。

グラツィアのドレスを着た美しい女性達はミスポロニアのファイナリスト。中央ははテレサ
グラツィアのドレスを着たミスポロニアのファイナリストたち

オーナーのテレサさんへのインタビュー

Q .Gracyaという社名の由来は? A. 英語のGrace(日本語では「優雅」の意)と同じ意味を持つポーランド語、”Gracja”をアレンジしました。自社のコンセプトやブランドのイメージを表現するのに相応しい言葉だと思ったからです。

1970年代のファッション雑誌からデザインのアイデアを練るテレサ
70年代のファッション雑誌からデザインのアイデアを練る

Q. 創業当時に苦労したことは? A. 1970年代は、まだ男性優位の社会でしたから、女性というだけで卑下されることも少なくありませんでした。でも、私には明確な目標と強い意志があったし、ウェディングドレス事業は女性だからこそできると思っていたから、そういった苦労も乗り越えることができました。

Q. ランジェリー業界は競争が厳しいのでは? A. 確かにポーランドにはランジェリーブランドが沢山ありますが、それぞれ個性を出して共存しています。グラツィアのランジェリーも、ウェディングドレスメーカーならではの個性を活かしていきます。

Q. 今後のランジェリー事業の展開は? A. 当面は、ウェディングドレスとお揃いのオーダーメイドのランジェリー事業が主流になると思いますが、一般向けのランジェリー事業も少しずつ拡大していきたいと考えています。

Q. ランジェリー事業で、今後クリアすべき課題は? A. 課題はたくさんありますが、ひとつは後継者の育成、もうひとつは品質の向上です。いずれにしても、プロフェッショナルな人材が必要です。

期待が高まる、グラツィアの未来

ポーランド東北部のランジェリーメーカー数社が結集して作られた連合「Eastern Poland」のメンバーとして、2011年、パリで開かれた国際ランジェリー見本市「モード・シティ」に初めて出展しました。ウェディングドレスとランジェリーという過去に例を見ないコラボレーションで世界中のバイヤーから注目を集め、その後も毎年のように国際見本市へ出展。ブランドの知名度は少しずつ向上してきました。

パリの国際展示会で来場者の注目を浴びた中世風のドレス
国際展示会で来場者の注目を浴びた中世風のドレス

これまでテレサのカリスマ性によって成長を遂げてきたグラツィア。ランジェリーブランドとしての歴史はまだ浅いですが、これからどう変わっていくのか、今後の成長に期待が高まります。

2018年現在、ランジェリーブランド・グラツィアはポーランド本社のランジェリー事業の縮小のためSPLASHでお買い上げいただけない状態となっております。ご迷惑をおかけいたしますが何卒、ご了承ください。

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