『フィッターXの異常な愛情』に見る、奥深きランジェリーの世界

Asako Hiruta

special vol.10

Lingerie Fitter X

フィッターXの異常な愛情

special vol.10

『フィッターXの異常な愛情』に見る、奥深きランジェリーの世界

Lingerie Fitter X

小説『フィッターXの異常な愛情』(蛭田亜紗子 著)は、主人公の颯子と彼女をとりまく登場人物たちの人生が「ランジェリー」によって変えられていくファンタジックな大人のラブコメディ。女性にとってランジェリーとは何なのか?人生を変えるきっかけとは何なのか?といった大きなテーマについて考えさせてくれるだけでなく、ランジェリーの潜在能力にも気づかせてくれるこの小説は、まさに「女のバイブル」とも言うべき必読書です。

今回の特集では、この小説の読みどころや個性的な登場人物などを紹介しつつ、女心をときめかせる麗しのランジェリー描写や、ランジェリーの潜在能力を示唆する名セリフの数々を紹介します。それでは早速「あなたの知らない、奥深きランジェリーの世界」へとご案内いたしましょう。

『フィッターXの異常な愛情』 あらすじ

「高級ランジェリーなんて、ツチノコや河童や米国ウエストバージニア州で目撃された蛾人間モスマンと同列に並ぶ未知なる存在だ」。主人公の國枝颯子はそう思っていた。少なくともフィッター伊佐治と出会うまでは―。広告代理店に勤める32歳の國枝颯子は、うっかりノーブラで出勤したある日、慌てて駆け込んだランジェリーショップ「Toujours Ensemble(トゥジュール アンサンブル)」で男性のフィッター・伊佐治耀に出会う。「脚を組むくせがある」「生理不順」「主食はラーメンとビール」「夕食は8時以降」「20歳のころと比べて5キロ以上太った」「少なくとも2年は恋人がいない」「…いくつ当たっていましたか」まるで霊能力者のように的中させる伊佐治に颯子は不信感を覚えつつも、案内されるがままにフィッティングルームへ。フィッティングを通していい加減な生活習慣や生き方を指摘された颯子は、伊佐治のランジェリーの魔法で少しずつ変わり始めて―!?

ランジェリーショップを舞台に繰り広げられる痛快なラブコメディ「フィッターXの異常な愛情」

『フィッターXの異常な愛情』 主な登場人物

それぞれ人には言えない悩みや秘密を抱えた登場人物たちは、みんな変わり者だけど愛すべき一面を持っています。今回は特別に著者の蛭田亜紗子さんからの許可を得て、当店で人物相関図を作成してみました。

  • 國枝颯子 … 忙しい日々に忙殺され、仕事に没頭するオヤジ女子。
  • 伊佐治耀 … 男性フィッター。ランジェリーを異常なほど愛している。
  • 華江店長 … ランジェリーショップの店長。妖艶な謎多き熟女。
  • 門馬直助 … 颯子が中学時代につき合っていた元彼。心優しい男。
  • 尾野愛理 … 直助の結婚相手。とにかく我が道を行く自由主義者。
  • 百田馨 … 無愛想で取引先とのトラブルも。人に言えない過去を持つ。
  • 増岡美鈴 … スタイル抜群の美女で、一児の母。ある深刻な悩みを抱えている。
  • 星壱太郎 … ある出来事がきっかけで、颯子と親交を深めることに。
  • 秋吉さん … とにかく短気で怒ると恐い。時限爆弾のような女性。
  • 大狼社長 … 口が悪いセクハラ社長。わがままで傲慢な男。
  • 本城夕妃 … 不倫騒動や自殺未遂でメディアを騒がせる、スキャンダル女優。
  • 髭女将ママ … ある大物政治家も通う怪しげな女装サロンの経営者。

『フィッターXの異常な愛情』
小学館 蛭田亜紗子

女心をときめかせる、麗しきランジェリーの魔法

まるで目の前にランジェリーが存在するかのような、緻密で繊細なランジェリー描写も、この小説の魅力のひとつ。ここからは、小説にたくさん登場する数々のランジェリー描写の中から、心ときめく描写を厳選してご紹介します。

  • 『 秘密の森の奥へと誘うような深いグリーンのセットアップ。凛とした気高さ、たおやかさとそのなかにひそむ強さ、どことなくハンサムな雰囲気が漂っている。 』

    <第7章 第二の男 (P184)より>

  • 『 大人の甘さを感じさせる色合い。羽根のように軽い素材と透け感のあるレースとの組み合わせが絶妙だ。ストラップのつけねには、スワロフスキーが連なる房飾りがあしらわれていた。 』

    <第7章 第二の男 (P185)より>

  • 『 ストラップからカップにかけてアイラッシュレースが繊細な模様を描いているブラは、谷間部分が細かいサテンリボンの編み上げになっていて、ラグジュアリーな工芸品のようだ。 』

    <第7章 第二の男 (P185)より>

  • 『 セットのショーツはタンガで少し大胆だが、長いフリンジがたっぷりと垂れ下がっていて、きっとヒップをとっておきの宝物のように見せてくれるだろう。 』

    <第7章 第二の男 (P185)より>

  • 『 ヨーロッパの風がふわりと香る、うつくしいブラだ。気の葉や蔓の模様を編み込んだペールグリーンのレースは透け感があって、爽やかで上品な色気をまとっている。 』

    <第5章 女王陛下のフィッター (P117)より>

  • 『 カップ部分の透かしレースとふちを飾る繊細なフリルが、カジュアルでスポーティーなカラーリングにぐっと大人のニュアンスを振りかけている。誰かに見せるための過剰に色っぽいランジェリーでも、機能だけに特化したそっけない下着とも違う。自分のためのお洒落、とでも言うべきデザイン。 』

    <第1章 その男辛辣につき (P17)より>

  • 『 腰のあたりから裾にかけて刺繍されたフリージアなどの花々が、におい立つようにあでやかに咲き誇っている。ところどころにちりばめられた透明のビーズが、あけがたの空に残る星のように、そして彼女自身が秘めているうつくしさの象徴のように、きらめいた。 』

    <第5章 女王陛下のフィッター (P134)より>

  • 『 申し訳程度にバストトップにあたる部分を覆い隠していたレースが消えると、熟成の進んだ赤ワインのように深い艶のあるガーネット色の枠組みだけが残った。――トップレスブラ。極上の色気とエレガンスをたたえたブラは、深夜の密事へと誘うとっておきの媚薬に変貌を遂げた。 』

    <第6章 眠れる森の美人妻 (P158)より>

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